2012年12月2日日曜日

まともな社会人のキャリアがない人たちが中心の政治って何なのでしょうか?

 亡くなった私の父の最終学歴は尋常小学校です。母のそれは高等小学校です。母は成績が良く、一旦は女学校に入学したものの、学校に履いてゆく靴がないために下駄で通学したところ、うるさいから下駄では来るなと言われて通学を断念したそうです。戦争中のことです。その母の今の生きがいはネットを利用した株の取引です。たまに会うとラップトップに向かっており、現在の国際経済等を語っています。83歳になりました。母親を誉めると嗤われますが、勉強熱心な素敵な83歳だと思っています。

学歴も資格もなく、苦労した両親が私たち子供に期待したことは、教育を受け資格を取り、その資格を活かす仕事について一人立ちすることでした。こうした期待に応えるべく、私は医師の資格を取得し、医師という資格を活かしていくことを大切にしてきました。ちゃんとした教育を受け、まともな仕事について欲しいと思うのは至極当たり前の考え方で、私の両親が特別に変わっているとは思いません。

 総選挙の公示まで間もなくです。政権与党である民主党のリーダーの野田佳彦首相は早稲田大学の卒業です。私の父なら、私が早稲田を卒業したなら、ちゃんとした会社に就職しろよと言ったと思います。野田首相のお父上が何とおっしゃったかは知りませんが、野田首相は早稲田卒業と同時に松下政経塾に入塾し、5年間の塾生活が終わると2年間のアルバイト生活を経て県議選に出馬されました。私の父ならば激怒したと思います。苦労してよい大学に行かせたのにまともな就職もせずに何をしているのだと怒ったに違いありません。野田首相だけではありません。若手の有望株と言われる細野豪志政調会長も京都大学を卒業し、三和総研に就職したにも関わらず、弱冠28歳で静岡県三島で政治家を目指し始められました。坂本竜馬の時代の28歳とは異なり、現在の28歳はある意味で若造です。そんな若造が折角良い大学を出たのに就職を捨て政治家になるなどと言ったら、私の父ならやはり私をぶん殴ったに違いありません。やはり京都大学を卒業した前原誠司特命大臣も、慶応を卒業した小沢一郎元民主党代表もまともな就職をしたことがありません。

 こうしたまともに就職をしたことがない議員が多いのは何も民主党に限りません。自民党の安倍晋三総裁も国会議員の息子として神戸製鋼で3年間の勤務があるだけです。石破茂幹事長も2年間の銀行勤務だけです。そもそも父親が政治家であった彼らにしてみれば、この就職も最初から腰掛であったかもしれません。

 例えば、日本中どこで心筋梗塞になっても確実に適切な急性期の治療が受けられる日本を作ろうという政策を掲げるとします。目標は正しく、聞こえは悪くはありません。しかし、実現するためにはそのスキルを持った医師を養成するシステムや、病院や機材の整備が必要です。このためには時間もお金も必要です。こうした準備ができても現場の医師やスタッフの不眠不休の努力や、地方の人であっても等しく助かる権利がありそれを実現するのだという使命感が欠かせません。お題目だけでは何も実現できないのです。このようなことは医療だけではありません。農林水産業や、製造業、商業や金融でも現場を知らずにお題目を掲げても実現できない改革は枚挙にいとまがないと思われます。

 学校を出てすぐに政治家を志すということは許されないとまでは思いませんが、政治家になることを目的化して、政治家であり続けなければ食っていけないといった人たちに国政を委ねてしまうことに恐怖を感じます。まともな感覚を持って社会に巣立ち、現場を知り、現場における組織化等を学んだ人たちが国政には欠かせないのではないかと思います。そんな風に社会において成功をおさめた人が政治家を目指す筈がないとも思いつつ、そうした人たちでも国政で活躍できるシステム改革が政治に求められているように感じる現在の政治状況です。

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