2012年12月7日金曜日

ニトロの舌下が有効な胸痛を繰り返すFFR=0.90の病変

Fig. 1 LAD evaluated with MDCT
70歳代の女性です。#6の50%狭窄という評価で 通院されていました。NTG舌下が有効な胸痛があるために撮像したCTがFig. 1です。非常に強い狭窄という訳ではありませんからカルシウム拮抗剤を使っていました。

心拍数が遅い方でなければほとんどのケースで私はジルチアゼム(ヘルベッサー)を選択しています。しかしヘルベッサー内服下でもNTG有効な胸痛があるために冠動脈造影を行いました。Fig. 2です。#6は75%狭窄でしょうか。FFRを測定しました。結果は0.90です。最近の考え方ではPCIをしない選択になります。先月のCAGです。

Fig. 2 Left CAG before PCI
しかし退院後も、内服下にニトロ舌下が有効な胸痛を繰り返すために再度、本日CAGを行い、今回はIVUSを行いました。Fig. 3です。 area stenosisは80%を超える高度狭窄です。輝度の高い部分も低い部分も混ざり、安定した病変ではなさそうです。今回はPCIを行いました。

 内服下にもニトロ舌下が有効な症状があるにもかかわらず、FFRの値だけでPCIを見送り、カテを1回多くしてしまったことになります。検査結果にとらわれて、症状を二の次にするという、よくある過ちであったと思います。

FFRが低値にならなかったのは最大充血が得られていなかったからとも言えますが、最大充血が達成できたか否かの判断は簡単ではありません。

症状があればどんなに軽度の狭窄でもPCIをしてしまうというのも誤りですし、症状があっても検査所見にとらわれすぎるのも誤りだと思われます。30年もPCIの世界にいるのに、こんなことを考えてしまいます。もっと洗練されなければいけません。

Fig. 3  IVUS before PCI

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