2012年12月12日水曜日

冠動脈MDCTによって変貌する冠動脈病の治療

Fig. 1 RCA evaluated with MDCT
 60歳代後半の男性です。午前6時40分、起床して間もなく胸痛があり、当日朝に受診されました。当日撮像した冠動脈CTがFig. 1です。軽度の狭窄が右冠動脈にあり造影剤の染みだしが認められます。plaque ruptureによるacute coronary syndromeと考え入院して頂きました。近医より降圧剤とスタチンを処方されLDLは108mgです。

入院から2日後の本日、CAGを行いました。Fig. 2はコントロール造影です。矢印に示す部位に解離を思わせるslitが認められます。Fig. 3はエルゴノビンによるスパスム誘発試験です。陰性ですので早朝の胸痛ですがスパスムらしくはありません。

そこでOCTで評価しました。9時から2時位でしょうかlipid poolがあり11時位にruptureによると思われるcapの破綻と空泡化が認められます。
Fig. 2 Control CAG befoe Ergonovine IC

CTで冠動脈の評価をしていなかった頃、早朝の胸痛で、スパスムの誘発が陰性であったならばどうしただろうと思います。Fig. 2のslit様に見える影は1フレームだけで認められました。プラークラプチャーだろうという目で見ていなければ見落としていたかもしれません。このため心配ないよと帰していた可能性もあり得ます。また、CTの所見がなければOCTまではしなかっただろうと思います。

CTの所見、OCTの所見からplaque ruptureと診断しました。既にスタチンを内服していますがLDLは108です。strong statinに変更し、80程度まで下げなくてはと思っています。また鹿屋ハートセンターから車で5分位のところにお住まいなので胸部症状の発現時にはすぐ相談して頂くようによく説明するつもりです。
Fig. 3 After Ergonovine IC
 この方に限らず、CTでこのような所見を見てスタチンを強力に処方する患者さんが増えました。PCIが必要な狭心症の方を見つけているというよりもスタチンが必要な冠動脈病変を見つけているという方が冠動脈CTの大きな意義のように思えます。

当院で何人の方にスタチンを処方しているかは数えていませんが、おそらく400名ほどではないかと想像します。もっとかもしれません。

このケースは胸痛のあったケースですが、冠動脈MDCTを使うようになり日常診療に変化が生じています。有症候の狭心症に対する治療、無症候性心筋虚血に対する治療から、冠動脈CTを駆使して虚血を伴わない冠動脈病の治療へと意識が変わってきました。
Fig. 4 OCT imaging

0 件のコメント:

コメントを投稿