2012年12月18日火曜日

他の患者さんが大変であっても自分を待たせるなという患者さん

 本日 お昼前に失神を主訴にかかりつけのの患者さんが救急車で来院されました。引き続き、病棟の患者さんの呼吸状態・意識状態が悪くなり気管内挿管を行いました。このため、外来患者さんには少し待ってもらうことになり、いつも12時15分位に終わる外来が13時頃になりました。午前中にこのような救急患者の来院や病棟の急変があると外来患者さんには待ってもらうしかありません。これまでも急性心筋梗塞の方が来られた場合など外来患者さんには待って頂いて緊急のPCIを行ってきました。もちろん、救急のためにお待たせしますと断ってです。とはいえ、緊急PCIも1時間もかかることは稀ですのでそんなに長くお待たせする訳ではありません。多くの場合、緊急PCIが終わってお待たせしましたと声をかけると、待っておられた患者さんから良かったねという拍手で迎えられてきました。そんな雰囲気だからこそ鹿屋の皆さんに助けられてやりやすいとも思っていました。

 こんな状況で過去にお叱りを受けたことはありませんでした。通院している方のほぼすべてか循環器病の方ですので、急変時には自分もこうして対処してもらえるのだと言ってくれる方がほとんどだからです。

 しかし、本日はお一人の方が待たせるのなら帰ると言われ、もう2度と来ない、医者は他にもいると言われたそうです。そんな患者を診るより自分を待たせずに診察しろということでしょうか。他院でステント植込み後の方です。その方ももちろん急な悪化をする可能性もあり、その方が急変すれば同じように対応するつもりですし、2度と来ないと言われたからと言って2度と来るなとも思いません。同病相哀れむという言葉もありますし、急な時にはお互い様だとは思ってもらえないのが悲しくなります。鹿屋ハートセンターのような小さな施設だから起きることだとも言えますが、何十人も医師がいる病院であっても急な事態でちょっと待ってねとお願いすることは起こりうると思います。自分の緊急事態にはすぐに対応しろ、他人の緊急事態は自分には関係ないから自分を待たせるなというような考えの方が増えていくようであれば、医療の先行きが心配です。

2 件のコメント:

  1. ひがし循環器クリニック 細川です
    12月21日 私も同じような状況で 午前の外来を初めてすぐに急性心筋梗塞(発症後3時間)の患者が来院されました 直ちに外来を停止して緊急PCIを始めたのですが前下行枝の閉塞部が分岐部病変でKissing Balloonをせざる得ない状況で少し手こずりました 約1時間でPCIは終えましたが 患者によっては怒る人がいてスタッフを困らせたようです
    昨今は医療機関への風当たりも厳しくなって すぐにモンスター化する身勝手な患者も多くなっています 生活保護への厳しい意見を聴くにつけて もう少し寛容になれないのかと悲しくなります この国の将来が憂慮される状況ですが お互い頑張るしかないですね
    まあ これが日本という国の社会

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  2. 細川先生、コメントをありがとうございます。文句を言われる方は本当に稀なのです。多くの方は自分の時にも頼むよ、上手くいってよかったねと言って下さっています。日本も捨てたものではないと思っています。ただ、お一人でも文句を言われる方がいるとへこみますよね。自分で選んだ道です。お互いにへこまずに頑張りましょう。

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