2012年6月6日水曜日

LAD take-offに対するRationalな治療戦略 Rational PCI Strategy for LAD take-off lesion.

 昨日の造影剤50mlで診断したCTを示した方です。6/4にPCIを実施しました。安静時の胸痛もあり血行再建が必要です。CT上はCXの入口部にもhigh lateralの入口部にも狭窄は認めません。前下行枝のtake-offですのでCABGという選択もありますがPCIを選択しました。

LAD take-offの治療で一昔前であればDCAを選択したと思いますが、今はもうなくなった治療手段ですから昔を懐かしんでも仕方がありません。LAD take-offギリギリにステントを置くか、CXをまたいでLMTまでステントを置くかの選択ですがIVUSで決めることにしました。結果、CX入口部にはやはり病変はありませんでしたがLMTには軽度であるもののLADから連続するプラークを認めました。IVUS後の治療方針はLCXをまたいでLMT-LADへのDES植込みです。IVUS所見から前拡張無しのdirect stentingとし、TERUMOのNOBORI stent 3.5X18mmを18ATMで植え込みました。植込み後にLADに若干のslow flowを認めましたがCXやHLのFlowは保たれていました。

ここでCXに対する処置ですが、6/1-6/3の小倉ライブで良いことを聞いて帰ってきていたので学んできた通りのことを行いました。CXに向けてpressure wireを入れ、FFRを測定したのです。結果は、十分なATP投与でも1.00からFFRは少しも低下しませんでした。このためCXには全く手を付けず終了しました。このやり方は、韓国のAsanMedical CenterのDr. Seung-Jung Parkが講演されたやり方です。

LMTに関わるステント植込みでdouble stentにすると再狭窄率は格段に上昇します。このためCXが健常であればone stent + KBTが良く実施されていましたが、FFRで評価してCXへの血流の障害がなければKBTもしないというやり方です。非常にRationalだと思います。

CXの将来が心配だからDouble stentにするだとか、KBTをするだとかというのには何の根拠もありません。こうしたRational approachがその後の良い結果をもたらすと信じています。良いことを聞いて帰ってきました。

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