本日も九州虚血性心疾患研究会での話題についてです。たくさんのPCIを実施されている病院から初診患者さんにすぐに冠動脈CTを撮って左冠動脈主幹部の高度狭窄を迅速に発見できたという報告がありました。この病院のMDCTは320列で、造影剤量も半分、被ばくも半分にできると少し良い装置が入ったことの宣伝もあったように思いました。
当院のCTはGEのOptima CT 660 proですが、2011年2月の導入から原則として造影剤の使用は体重1㎏あたり0.7mlと決めています。上の図の方は72.1㎏の方ですので予定する造影剤量は50.47mlですので50mlを使用しました。その結果、LAD take-offに高度狭窄を認め、昨日PCIを実施しました。
下の図はCT撮影時の診療放射線技師の記録です。被ばくや撮影時間が少なくないのは腎動脈まで見たからです。造影剤量50mlで冠動脈も腎動脈も評価できれば、価値があると思っています。
造影剤の使用が50mlでも腎機能を知らない人にいきなり使用するのはためらわれる量ですので、初診で8時半に来院されすぐに採血をして10時位にCREを見てすぐに撮影ということは可能ですが、10時位に来られると当日にCTというのは当院では困難です。昼から撮影という考えもありますが、一人で午後はカテをしているので難しいのです。
造影剤を半分にできるという発表を聞いて、25mlの造影剤であれば相当思い切って初診時にCTを撮れると思い、発表の先生に、半分というのは具体的に何mlなのかを聞きました。答えは64列時代は造影剤を100ml使用していたが320列になって半分の50mlに減ったというものでした。
私たちの施設では64列導入時から0.7ml/kgのプロトコールにしましたので、これより多い方がより良い画像が得られるか否かは知りません。ただ現状で画質には満足しているので使用量を増やす気持ちもありません。一方で、320列でも50mlが適切なのかの検討は必要だと思います。本当に半分の量で撮像可能であれば0.35ml/kgですから40kgの人では14mlのみで良いということになります。これほどに少なくできれば冠動脈CT撮影のアキレス腱である造影剤使用の問題は最少となります。256列、320列をお持ちの施設から思い切った造影剤を減らす工夫を提起してもらいたいと願っています。
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