鹿屋ハートセンターの電子カルテ |
64列MDCT導入後、担当の技師さんは16列の時代と比べて世界が変わったと言っています。私には言いにくいのか他の職員に、被ばくが16列時代と比べて格段に少なくなった、造影剤の使用量が半分になった、息止めの時間が短くなったなどと良いことばかりだと嬉しそうに話しているそうです。実際、息止めの時間は10秒足らずになり、短い息止めのため途中で息をしてしまう方は激減しました。また、撮影に20数秒かかっていたのが10秒足らずになったためにその間に不整脈が出る確率も減りました。その結果、16列時代と比べて冠動脈を評価するに足るきれいなCT画像が撮れる成功率が格段に上がりました。
造影剤に関しても16列時代には100mlを使用していましたが、今は体重X0.7ml+10mlの使用です。50kgの女性であれば45mlのみの使用です。高額な造影剤の使用が減るわけですから経済的な負担も少なくなりますし、腎臓に対する悪影響も少なくなります。16列時代には、カテでは50mlも造影剤を使用しないのにCTでは100mlも必要だからカテの方が良いと私自身も思っていましたが、64列になってカテよりも少ない造影剤で評価出来るためにカテに対するこだわりもずいぶんと少なくなりました。64列と16列の違いは、私にとっても冠動脈を評価する世界観が変わるほどの違いなのだということが両方を使ってみてよく分かりました。16列時代にはクレアチニンが1.2を超えるとカテのほうが良いかと考えてCTを撮りませんでしたが、造影剤が50mlですむのならもう少しクレアチニンが高くてもCTでも良いかと思い始めています。
写真は、本日のPCIのケースです。左のCTでは石灰化を伴う狭窄に見えますが狭窄程度の評価は微妙です。右の造影では75-90%狭窄です。IVUSでは強い石灰化を伴うtight stenosisでPROMUSを植込みました。写真は2 monitorにしている私の診察室のパソコンのprint screenです。造影とCT画像等、複数の画像を電子カルテから呼び出し並べて評価することが可能です。もちろん造影を2つ並べて以前のものと比較することも簡単です。これは当院の画像サーバー、GEのXI2のweb serverから電子カルテで呼び出して見ているからです。ブログを始めてみて数年前の複数の造影を呼び出し、CT画像も呼び出してという作業をしていますが、このような画像サーバーがなければどれほど大変な作業になっただろうと思います。
Optima CT660proに更新したことで消費電力が減り、造影剤の使用が減り、被ばくが減り、患者の経済的・肉体的な負担が減ります。また導入する医療機関の経営にもやさしい価格設定です。画像サーバーを電子カルテと連動させることで、大幅な時間の節約が可能ですし、比較するという作業を通じて、診療の質も向上すると思っています。GEのecomaginationは環境と経済の両立というコンセプトと聞いています。また、healthymaginationはこれに加えてより多くの人がより健康的に生活が送れるようにというコンセプトだと理解しています。Optima CT660proの導入と4年前から当院に存在する画像ネットワークはこうしたコンセプトにうまく合致しているようです。
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