2010年10月21日木曜日

画質の改善は、治療方針を左右する

Coronary CT on 15, Dec. 2006

 
Coronary CT on 21, Oct. 2010
 本日のCTのケースです。2004年に近医で冠攣縮性狭心症と診断され、以後、カルシウム拮抗剤を内服中です。内服下で症状はありません。当院の開院直後から当院に通院されています。
 上段は2006年に16列MDCTで撮像したCT像、下段は本日撮影したOptima CT 660proの画像です。明らかに下段の像のほうが高画質です。この違いは16と64の違いだけではないのです。上段の16列ではヘリカルに撮影していますが、下段の64列ではsnapshot pulseという方法でコンベンショナルに必要な心位相のみを撮影しています。この方法で画像の劣化無しに被ばく線量を低減できます。Optima CT 660proに更新してから、心拍が安定しているケースや、心機能の評価を必要としないケースではこの方法で撮影しています。本日施行した4例のCTのケースの全てでこの方法を用いて撮影しました。
 このケースでは冠動脈3枝にプラークを全く認めません。他医で診断された冠攣縮性狭心症の方のカルシウム拮抗剤を中止するのには少しばかりの勇気が必要です。小倉記念病院のデータではプラークを伴わない冠攣縮性狭心症の場合、カルシウム拮抗剤の処方無しでニトログリセリンの舌下のみで十分管理可能と発表されています。16列の評価ではプラークは存在しないとは自信を持って言えませんでしたが今は、その評価が可能です。今回の結果を受けて、内服の中止を検討してみます。
 冠動脈造影を下回る被ばく線量で内膜の情報も得られ、治療方針の決定にも寄与するのであれば冠動脈CTの価値は高まります。

4 件のコメント:

  1. 初めてホームページを拝見させて頂きました。
    いかにも病院らしいブログで、ちょっと驚きました!
    院長先生が日記を書かれていますが、これも院長先生がかかれているのでしょうか?
    また、時々拝見させて頂きたいと思います。

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  2. マナ様
    当ブログへの初コメントです。
    ありがとうございます。
    日記もブログも今は私一人が書いています。
    医療関係以外の方には難しいのではないかと心配しています。
    新井英和

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  3. 先生、コメントのお返事ありがとうございます。
    初めてのコメントでしたか…。なんだか、嬉しいような、恥ずかしいような…。(^_^;)
    実はこのHPに辿り着いたのは、『掃除道』っという本を読んだからです。先生のお名前を本の中でみて、どんな先生なのかと興味を持ちました。
    なので正直、先生の書かれているブログは心臓疾患に全く詳しくない私には難しいですね…すみません。

    昨日、初めて『掃除に学ぶ会』参加してきました。
    日曜日には市内の小学校の掃除会に参加予定です。
    先生からもいろいろ、教えて頂けたらなぁっと思っています。ぜひ、宜しくお願いします。

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  4. 無心に便器にむかう時、無心だからこそ多くの考えが頭をよぎります。掃除の会で私は多くのこと学んだと思っています。
    インスパイアーされたというのが本当かもしれません。
    今は一人でやっている有床診療所です。
    留守にできず、掃除に学ぶ会には何年も行けてません。
    また、インスパイアーされたいです。

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